第4話

よかった?



この前は、喧嘩じゃないと言ったら『残念』だとか言ってなかった?


石段に座る私は薫くんを見上げた。



「ごめん、さっき。俺、余計なことした」



え?



余計なこと?



申し訳なさそうに薫くんに言われ、わたしは首を傾げる。



「どうして、薫くんが謝るの?」



ちょっと本当に話の流れが掴めず、わたしが聞くと薫くんは隣に腰を下ろした。



「彼氏の前でわざと光のこと褒めた」


「え?」


「ちょっと、嫌がらせのつもりで。」


嫌がらせ?


何がどう嫌がらせになるのか、そういえば藍もわざわざ彼氏の前で褒めないとかなんとか……。



「光の彼氏にわざと見せつけたんだ。あわよくば喧嘩くらいしないかと思って。」



そこまで説明されて、藍が言っていたことを思い出した。




"どこをどうとったらアイツが良い奴になんだよ"


"俺だから大した話になってねえんだからな"


"今ここ、喧嘩になる場面だぞ"



……そういう事か。



薫くんの話を聞いて、初めて藍の言っていたことが理解出来た。

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