永遠ナンバーツー!!

メガゴールド

プロローグ  二人の超人

「エクス先輩! はやくはやく!」

「わかってますって」


 僕ことエクスは、相棒の女の子シールと共に、妖魔退治の道中だった。


 近隣の村が妖魔の団体に襲われてるという情報を聞きつけ、学園の指示で僕らはそこに駆けつけたわけだが……


「先輩! いた! いたよ! 妖魔!」

「シールちゃん。小声で……」


 村人を取り囲むゴブリンやオークといった低級妖魔が見えた。

 その真ん中にはリーダー格と思われる……


「魔族……同族じゃないか。こんなところで何をする気なんだか」

「先輩! とりあえず村人助けるためにぶん殴りにいきましょ!」

「うん。でも相手がどう出るかわからないから、少し様子……」

「でいやっ!」


 シールちゃんは僕の言うことを最後まで聞かずに飛び出して行った。


「待ってシールちゃん!」


 僕の制止は無駄だった。止まる気配がない。仕方ないので僕は後を追う。



「けへへ。今日からここはおれ様達のアイスクリーム工場になるんだ」


 リーダー格の魔族がとんちんかんな事を言い出してる。アイスクリーム工場?


 村の子供も頭を少しひねり聞く。


「アイスクリームくれるの?」

「おおそうさ。お前らを機械にかけてクリーム状にして振る舞ってやる! けひゃひゃ!」

「嫌だ~!」

「嫌でもそうな、」


『せい!』


 シールちゃんの鉄拳が魔族にクリーンヒット!


 魔族は配下のオークに支えられたため、倒れもしなかった。

 いや、そもそも効いた様子はない。


「なんだぁ小娘……」

「はっは! 私はシール・デュラミス! 正義の使者! 貴様らを殺す!」

「正義の使者の癖に物騒な事言いやがるな……」


 やや呆れ気味の魔族だが、シールちゃんは気にもとめない。


「悪は殺す! それが私の流儀!」

「そういうのはもっと力つけてから言うんだな。なんだよお前、全然魔力感じないぞ? 今の拳も全然効……」

「先輩先輩! 秘密道具早く!」


 シールちゃんは僕をせかす。

 ややため息まじりに僕は答える。


「秘密道具じゃなくて、武器ね。はい。好きなの使いな」


 僕は手から魔力という名の特殊なエネルギーを地面に投げる。

 光輝く球体の形をした魔力は、剣や槍といった数々の武器へと変貌する。


 シールちゃんはその中の武器を目をつむったまま適当につかむ。


「今日はコレ!」


 彼女が掴んだのは金ピカのグローブ。武器ではなかった。


「今回は拳かぁ~ま、いっか!」


 グローブを身につけ、シャドーボクシングを始める。

 

 魔族はほくそ笑む。


「魔力の武器か。確かに厄介だが、小娘の魔力は無いに等しい。恐れるに……」

「シールちゃん、いつものやるよ」


 僕は呼び掛けるとシールちゃんは頷く。

 すかさず地面に魔力で魔法陣を描く。


「【魔導転移】」


 ――瞬間、僕の強大な魔力がシールちゃんに送られる。

 結果、シールちゃんの無いに等しい魔力が、溢れんばかりの強大な物へと変貌する。


「んなっ!? ご、ゴブリン達! おれ様を助けろ!」


 ゴブリン達もあたふたしだし、逃げの構えを見せるが……

 今のシールちゃんから逃げられるわけがない。


「ひっさーつ! カイザーブロークン・デストラクション・エナジーギガンテス……」

「技名長っ! だがその隙に逃げ……」

「アトミック・ビューティフル……」


 と、技名の途中なのだが、すでにゴブリンやオーク達はシールちゃんの拳の雨で粉々に!

 そう、名前叫びながらすでにシールちゃんは技を放っているのだ。


「おい! 何でもう技放って……」

「サンダーファイヤーカイザー……」


 カイザーはさっき言ったよシールちゃん。


 と、言ってる間にシールちゃん渾身の拳が魔族に直撃!


 魔族はその瞬間内部から破裂!

 さらに拳の雨が魔族の腕や足を連打し、魔族は体の部位を残さず……


「ぎいやああああ!」


 断末魔の悲鳴と共に粉々に散っていった。

 

 まあ、余裕の相手だったね。


「エクストリーム・ナッコオオ!」


 あ、技名いい終わったようだね。お疲れ様。

 もう敵は死んでるけどね。



 ♢



 魔族と妖魔を始末した後、村の村長らしきおじいさんが僕とシールちゃんに頭を下げてきた。


「なんとお礼を言ってよい……」

「いやいやそんな! 村の宝物をくださるだなんて!」

「え?」


 シールちゃん。村長は何も言ってはいないよ。


「でもでも! そこまで言うのなら!」

「抑えなさい」

 

 たかりそうなシールちゃんを制止。

 僕らは学園に届いた任務を遂行しただけ。報酬は学園に。僕らに貰えるのは内申点だけだ。


 そう。僕らは学生なんだ。


 魔王養成学校、夢幻学園の、ね。


「ところでお二人の名前、お聞きしてもよろしいでしょうか……?」


 村長がそう言うので、とりあえず自己紹介。


「エクス・リコード」

「シール・デュラミスでえす!」


 その名を聞いた村人達は騒然。


「リコード?」「あの名家の?」


 ……フフ。家の事褒められるのはいい気……


「――ってことは、」



「「永遠ナンバーツー?」」


 誰が永遠の二番手だ!!


 ……って文句つけたくなったけど抑えるよ……


 ズルッとずっこけそうになっただけで良かったよ……


 不服だけど、その不名誉な名前は村にも浸透してるんだね。


【永遠ナンバーツー】


 あらゆる全てにおいて二番手の成績を残す僕、エクスのあだ名さ。


 でも見ているがいい……

 シールちゃんと組むことで、僕らはナンバーワンに、魔王の座についてやる……


―――――――――――――――

 そう、これは僕ことエクスと、相棒のシールちゃんが学園のトップを目指す物語……

―――――――――――――――




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2024年11月30日 19:07

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