第2話
*
やっと坂井さんと付き合うことになったといっても、以前とあまり変わらない。
デートもしてくれないし、もちろんレストランとか行くこともない。たまに行くとすれば、牛丼屋かファーストフード。頑張ったところで、ファミレスか。ファミレス行くなら、焼肉屋に連れて行かれたりもする。
一緒に遊園地とか映画とかショッピングとか、美術館とかに行ったことは、ない。坂井さんと普通のデート、してみたいな。
私はそう思って、隣で裸で眠る坂井さんの寝顔を見つめた。
無精髭がある。「ブヒヒ」と、いびきもかく。エッチしたあとは、坂井さんのTシャツを着て私は眠るけど、坂井さんは基本寝るときは裸にパンツ一丁で、冬はトレーナーにジャージを履くだけ。
初めてキスした時の会話。キスはいやらしいことになるのか、ならないのか。この人にとっては、キスは『やらしいこと』には入らないのだという。「やらしいこと」は、キスのその先だから、という概念。「キス?んなもん、あいさつだろ?」というまさかの欧米化!(古い?)
いやいや。
当時10代だった私に、あんなキスしといて、よく言う……。
てか、そもそも「やらしい」って、なんだろう?既に基準がわからない。この人の基準が私の基準とは違うんだろう。
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