第21話 三船の独白2
それからひとしきり、自分が服飾系に興味を至るまでの過程を話した。
でも、進路のタイミングになって、親と先生からの圧もあって。
服飾系の専門学校なんて選択肢にも入らず、学力とか、ありふれた理由で大学の進路を決めて。
でもまあ、趣味で続ける分には良いだろう、と、自分の普段使いの持ち物を作り始めて。
そうして今に至ってる。
後悔がない、といえば嘘だけど、ある程度、納得はしてる。
専門学校に行くのはお金もかかるし、進路の幅も狭まるし。
ただ、自分が専門学校に通いたい、という気持ちくらいは、伝えても良かった気がしてる。
そこで親との関係を、少し拗らせてしまったのだ。
その余波を、自分は今もまだ、引きずっているように思う。
「難しいよね、進路。私も正直、今の大学、入りたくて入った訳じゃないから、少し分かるかも」
「え、そうなんですか?」
「うん。ほんとは、もう一つ上のランクを狙ってたんだけどさ。ちょっと失敗しちゃって」
「なるほど」
「確実に受かる大学を、って学校の先生に言われちゃって。そこでちょっとヤケクソになって」
「先輩でも、そんな感じになること、あるんですね」
「あるある、たくさんあるよー・・・まあ、でもいざ大学入ってみたら、別にどうでも良くなったんだけどさ」
と、先輩は両肘をついて、手を顎の支えにした。
そして軽く、ため息一つ。
「大学が、人生のゴールって訳じゃ、ないもんね」
「・・・確かに、そうですよね」
なんて、軽く笑って返したけど。
その先輩の言葉は、自分にとってはとても貴重で。
このまま、今後の大学生活でも、自分の中にあり続けてほしい。そう願った。
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