第19話 小牧の選択3

そう言って、高柳店長は、後で古民家カフェのチラシ持ってくるから、と、店の奥へまた引っ込んでしまった。


そして、凪。





「・・・何か、こんなことって、あるんだね・・・」


「そ、そうですね」





私たちは互いに視線を合わせると、何だか急な展開におかしくなり、思わず笑みが溢れる。


でも、よくよく考えたら私、何も考えずに行くって言っちゃってる。


合宿の行程、そんなに空き時間あったっけ。





「・・・勢いで言っちゃったけど、行けるかな・・・」


「大丈夫ですよ、合宿の二日目と三日目、自由行動みたいなものでしたし、何とかなります」





・・・そうだったっけ?


まあ、良いか。


三船くん、いつも細かいところまで把握してる感じだし、大丈夫な気がする。





「・・・自分も」


「ん?」


「・・・ついて行っても、良いですか?その古民家カフェ」


「え?もちろん。こっちからお願いしたいくらい・・・でも、面倒じゃない?」


「そこは、乗りかかった舟ですし。むしろ、是非」





そう言って頭を下げる、三船くん。


釣られてこっちも頭を下げる。


・・・何か、意外に硬派な感じなんだな。


というか、むしろこっちが、ほんとの三船くん?


何だか今日は、思ってもみないことばっかりだ。





そうこう考えを巡らせていく間に、三船くんが頭を上げた。


不意に、視線に入るトレーナーの良い味出してるマーク。


反射的に私は、口を開いて見ることにした。




「・・・そいえばさ、そのトレーナーのデザイン、すごい良い感じだけどさ。どこのブランド?」




目を丸くして固まる三船くん。


・・・ん?私、何か不味いこと、言っちゃったかな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る