小牧の選択

第17話 小牧の選択1

いきなり現れた、この店の店員さんと思しき人。


私にハンカチを差し出すと、椅子に手をかけ、くるりと半回転させてそのまま腰掛けた。





三船くんから、知ってます?的な目線が送られてきたけど、私もよく分からない。


まあでも、店の真ん中で、こんだけぶっちゃけトークしてれば、店員さんには分かるのか。





・・・いや問題はそこじゃない。


何でこの人、座ったの?店員さんなのに?





「ああ、申し遅れまして」





と、私たちの頭の上のクエスチョンマークを察したのか、その人が自己紹介に入る。





「私、この店の店長してます、高柳です」


「・・・は、はぁ」





店長がわざわざ、何しに来たというのか。





「まあ、堅っ苦しい話は置いといて。本題なんだけどさ」





と、わざとらしく身振り手振りを交えながら、その人は話を続ける。





「その、お嬢さんが言ってる店長?俺ね、多分行き先知ってる」


「・・・え?」





反応したのは三船くん。


私はちょっと、展開が急すぎて、ついていけてない。





「てか、連絡先も知ってるぜ。今からでも話そうと思えば、話せると思うけど」


「・・・いや、え、ちょっと、話の展開に全然、ついていけてないんですけど」





またも三船くん。助かる。


それ、私も思ってることだった。

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