第16話 三船の選択3
と、こんな状況にしてしまった自分が言うのもなんだけど。
ここがお店だってことを不意に思い出して、一瞬焦る。
でもほんとに、一瞬。
なぜならその焦りは、その後の展開で、吹っ飛んだのだ。
「やるね、青年」
声をかけてきたのは、この店の店員さんと思わしき人物。
その手には、ハンカチ。そしてそれをそのまま、先輩の元に差し出す。
「必要なら使って?」
「・・・あ、ありがとうございます」
そしてそのまま、この席に余っている椅子の背もたれに手をかける。
くるっと、半回転させて、着座。
自分は、先輩に視線を送り、この状況がどういうことかを探ろうとする。
でも、先輩もよく分からないのか、少し首を傾げるばかり。
これぞまさに、事態は風雲急を告げる、という感じだろうか。
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