第3話 『天使』との出会い。

ノワールは老婆を手にかけた。

人間の身体に生まれ変わっても殺しへの渇望と血への渇望は止められそうにない。

行く先々で殺しをして、生き血を飲んだ。


白い髪はだんだんと赤く黒くなっていって、目元も赤い紋様がなっていった。

言葉も紡げるようになってきてから、ずっと、いろんな人間と出逢い、殺してきたが、たちまち、お触れ書きが風の噂で広まった。


ーーー日がくれる時ーー悪魔が襲ってくるーー。と。


人間なら恐怖を覚える殺しをしたのだ。

生き血をすすって死体はそのままにしていたのだ。

そう、、簡単に、、『魔王復活の噂』は聞きつけられた。


ーーー『ダンデア』に行く途中。ノワールは中央国にいた。

ーーそこで、女が襲われていた。路地裏。薄暗い中で、女の嘆きの嬌声と雄の荒い鼻息。

もっと人間の交尾を見ていたかったが、女をほしいのは一緒だった。だから、雄を殺して、女がお礼を言ったところにまた、強制的に女と交わって(女は二度目の不幸に啜り泣いた)生き血をすすって、喉元を締め上げた。

美味しいが何か物足りない。


そうぼんやり、思っているうちに、女が生き返った。


ーーーそう、、彼女は『天使族』の端くれとして、生き返ったのだろう。羽をいきなり出してきて、宙を浮かぶ。

そうして、ノワールを天使族の輪っかで捉えて、宣った。

「魔族の最初の魔王、『ノワール』さまですね?同行してもらいます。」

どこへ、と、問うても応えず、輪っかを縄の要領で使い、犬のおつきとしてのように振る舞わせる、天使。名前は『ガーノルド』というらしい。先ほどの情事を根に持っているのか、扱いはやや乱雑だった。彼が魔族だというのもあるだろうが。


天使の住まう、空より雲より高い位置にある世界。

全体的に何もかも浮いている、重力を無視した価値観。

そこに『神』は玉座に座っていて、(浮いていて)、ノワールはガーノルドに引きずり出された。情事のことは人間の間のことだったので、言わないようだ。

ならばなぜか。

『神さま』が言った。

「ノワールよ。悪魔の一員として生まれて生き残った男児よ。これからも人間のようなくだらない下卑た言動をとるならその命ーーーもう二度生まれてこないことに知るぞ。」

一息ついてノワールは聞き返した。

「つまり、のぞいていたわけですね、僕の乱雑な生き方を。」

相槌打って、神はのたう。

「その通りだ。おまえの生は特別だった。いく10人もの精液を浴びて、神父にーー『私』

に仕える使者をそそのかした美しい魔女の子よ。私がおまえを一人前にしたようなものだ。父親ヅラしてすまないか。」


ーーーもう一度生まれてきたことを確かめろ。、、意義ある生をしてこい。


「『ガーノルド』とともに人生とは何か数えるのだ。」


ーー神はそう言って、ガーノルドを見張りとして、ノワールたちを地上に返した。






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