第4話 ガーノルドという天使
彼女は美しい赤毛の天使だった。
規律にうるさい天使だった。
その割に身体の尻の軽い女天使だった。
そばかすがかえって美貌を際立たせるアクセントになっていて美しい。
そんな彼女は人間になって(形ばかりの人間だ)。
ノワールのお目付け役になった。
ノワールはこんな女と毎日小言の毎日になった。
ーーー人間界ーー
中央國。『エクスチュード王国』。
その天使たちのこっそりの隠れた酒場で。
「ノワールさん、いいですね!酒は朝は控えてください!あと、わたしのいないところで男女構わず口説かないこと!血を吸うこと?なんて!もってのほか!!私の目の黒いうちは許しませんよ!!」
ノワールは勢い込まれて、後退りつつ、おもむろに返事した。
「わかったわかった。。そう、怒鳴り込むのはよしてくれ。。あゝでも人間の血を吸えないのか。しかも、口説くって、、。。向こうから言い寄ってくるんだけど??」
「いいから!!」
そんなこんな朝からでしゃばられると、酒場では、天使たちが天使によってはワインや麦酒を呑んだり、フツーにお茶を飲みながら小言劇場を肴にされてしまっている。
ノワールはそれが嫌で仕方なかった。
口々に天使たちが「あの魔王が、尻軽赤毛に尻に引かれているぜ!」「コレは明日の天気は槍だ、、」「コレが悪さした天罰かもなあ。。。」
言いたい放題してくれるじゃあないか。
ノワールは悪さをすると、右腕につけられた、天使の輪がガーノルドおよび、『神さま』に知らされる。
ガーノルドの責任にもなるのであろう。その処罰がどれくらいの重さなのか知らないが、何やらいつも小うるさい。
そんな天使に何を臆する理由があるだろう?
彼『ノワール』は簡単に罰則を犯した。
夕方になって日が暮れた時、果物屋の女将に色気を撒き散らした。少し痩せ細っていたが、血はきっと甘い。明け方、彼女の家から出てきた。
彼女はトロンとした目つきで操られたあとだった。
右腕が警報を鳴らして黄金に輝く。
トロンとした女将は、男を見つけて、近寄っていくと口吸いを仕掛けた。男はいきなりのことで女将を引っ叩いた。女将はそのまま、首をグギリグルン!っと音が気味悪く響かせて、顔が背中にぐるんと後ろになった。
そのあとは悲劇だった。
女将は背中を表になって両腕が犬の前足のように成り果て。人間でない姿になって、たちまち魔物に成り果て、男を襲った。恐ろしい姿に人間たちは悲鳴をあげて広間から逃げ去った。
そこで、駆けつけたガーノルドはすぐさま女将を殺した。そこに一切の戸惑いもない。
しかし、泣いていた、、。
ごめんなさいごめんなさいごめんなさい、、、
嗚咽すらあげていた。
生娘が処女を無理やり強奪されたかのように。
そう、悲壮に呟きながら、人間だった魔物を殺すガーノルドの悲しい小さな背中は何か得体のしれない感情をノワールに与えた。。。
彼女は何に謝っているのだろう?
それを知ってみたかった。
この戯れに招いた悲劇の中の小さな嘆きはのちにノワールに大きな影響を与えた。
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