第3話

「ふーん、ここを切ればいいのか」



いつかのために、人の仕留め方を研究する咲人さん。私の血管を、まるで三つ編みする時のように真剣に眺めている。勉強熱心、且つ真剣な姿、好き。



「なにボーッとしてんの。終わったから早く俺の前からどいて。モタモタしてたら、本当にやっちゃうから」



ぶっきらぼうだけど私を心配してくれるの、好き。きちんと言動の間に一線ひいて、私を傷つけないところ、好き。



「あ、ミミ。少しかがむ」


「こう?……ん!」


「ねぇ。キスいつ上手くなんの」



強引なところ、好き。言葉で責める割に、私をトロトロに溶かしてくれるところ、好き。


要するに、私は――



「今日も、大好きです……」



聞き慣れた言葉を聞いた咲人さん。

見下すように私を見たかと思えば、



「ほんと、ミミはどうしようもないね」



呆れた声でため息をつく。その退屈そうな視線が、雰囲気が――私の中の好きを膨らませていく。



(不思議。毎日見ているのに、まったく見飽きない。まるで初めて見るかのように、いつも目が離せない)



咲人さん。

今日もあなたが大好きです。

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