私のご主人様

第1話

出会いは、ごくありふれたもので。

怖い不良に絡まれていたところを、助けてもらった。



『この子に、手ぇ出さないで』



一目見て、一般人とは違うって分かって。

分かったんだけど、止められなくて。

一瞬で、大好きになった。



『で?どこから来た迷い猫かな?』



大好きって思ったら、離れたくなくて。

とっさに嘘をついた。



『あなたの家に帰りたい猫、です』



するとあなたは笑った。

口に手を添え、上品に吹き出した。

その姿さえも、既に愛おしくて。



『仕方ないなぁ。


じゃあ、飼ってあげる』



その日から。

私は、あなたの飼い猫になった。

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