第22話

香月雅が私に告白してキスをした、なんて。もしも姫岡さんが聞いたら、どれほどショックを受けるだろう。



『何番目でもいいから雅くんの彼女でいたい』



並大抵の覚悟じゃ、言えない言葉だ。それを言ってのけた姫岡さんは、スゴイ。


それだけ香月雅を深く愛せるなんて……女神様じゃないの?あんな女好きのキス魔。どこがいいのか、さっぱり分からない。



……話が逸れた。とにかく。



香月雅に真剣な姫岡さんに、香月雅の一時の戯れに傷ついて欲しくない。だから「キスされた」なんて、絶対に口外しない。



「でも香月くん、タイミング良かったよね」

「思った―。鈴木くんと小里さんが険悪になってた時だったからさ」


(そう言えば……)



さっきまで穴があったら入りたいと思っていたけど。


……いや、わりと今もそうなんだけど。


でも、さっきまで感じていた虚しさや恥ずかしさは、スッカリ忘れていた。悲しいっていうより、なに公の前で言ってくれてんの香月雅‼って怒りの方が勝ってるし。



「少しありがたかった……のかも?」

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