第6話

「君のさっきの言葉って〝愛されたい〟って言ってるように聞こえるけど、合ってる?」


「愛、されたい……?」


「俺はね、愛せるよ」




黒色のゆるい猫毛。前髪はセンターより右側で、なんとなく二つに分かれている。高い鼻に、薄い唇。右耳には黒いピアスがキラリと光る。


いつの間に私の横に座ったか分からない、その人は。同じ学校に通う、香月(こうづき)雅(みやび)。


「学校一のイケメン」と同時に「学校一の遊び人」と女子から呼ばれる、堂々としたクズっぷりで有名な男だ。



そんなクズ男・香月は、整った顔を武器にして。まぶしい笑顔をふりかざした。




「君、愛されたいんでしょ?なら無茶苦茶に愛してあげるよ。……偽りで良ければね」




この人物を視界に入れた瞬間。独特な匂いは強くなり、頭の中で警鐘が鳴り響く。


この匂いは、この人物は、




どうしようもなく危険なのだと――

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