第2話

付き合ってない男女なんて、ただの赤の他人だ。いや、付き合っていても赤の他人なんだけど。そこから情をとったら、もう何も残らない。



それを元カレも承知のことだったんだろう。別れ話が終われば「じゃ」と。何事もなかったように、私を置いて自分だけ帰路についた。



自分だけの世界に帰って行く元カレ。あの世界に、ついさっきまで私も加わっていたと思うと……遠くなる背中に、未練がましく手を伸ばしてしまう。




「……何やってるんだろう。ダメダメ」




梅雨入りしたけど、今日は晴れ。不幸中の幸いというべきか、フラれた日に雨だった……なんて勘弁してもらいたい。




「雨は降らない、けど……なんか匂うなぁ」




湿気の匂いでもない、アスファルトの匂いでもない。雨が降りそうな独特の匂い……ではないけれど。


いつもは違うソレが、鼻孔をくすぐる。

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