危険な男

第1話

「あのさ、今日の放課後。話があるんだわ」


「あー……うん。分かった」




人生、何度もフラれていると。その前兆というのを、悟ってしまえるもので。




「もう付き合えないから、別れてくんね?」


「……理由を聞いてもいい?」




そして、ふられる理由でさえも。分かってしまうものである。




「しいて言うなら、子供っぽい。小学生と付き合ってるみたいで、全然盛り上がらねぇんだよ」


「……わかった」




小里(こざと)仁奈(にな)。高校一年生の16歳。今までフラれた回数は五回。


けれど本日、新たにカウントが加わり――




梅雨入りした六月。


人生で、六回目のどん底に落ちてしまった。

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