第3話
「…姫様。今日は右近中将様と藤侍従様が来られましたよ。お二人もいとこの方が遊びにいらっしゃるとは、珍しい日もありますわね」
そう言って、知らせにきたのは、女房の小鈴(こすず)だった。
母様のお付き女房の鈴鹿の娘で、父は清久である。
今年で、十七になる。
「…いとこのあの二人が来るとはね。また、私をからかうわけね」
私はそっぽを向きながら、言った。
そう、左近中将はあの宗明の伯父上と葛の伯母様の長男で、実名を源頼忠という。
伯父上に似て、たいそうな美男子である。
藤侍従は、義隆の叔父様と基子叔母様の同じく、長男で、実名は藤原規久である。
こちらも両親にそっくりで、頼忠殿とひけを取らない美貌を持っている。
まあ、雰囲気は頼忠殿は、明るく、華やかで規久殿は落ち着いていて、きびきびとした感じだけど。 頼忠殿は今年で二十歳、規久殿は十八歳になる。
私は十六になるから、二人とも年上だ。 義隆叔父様は基子叔母様との間に、小松の君こと咲子姫や規久殿、乙若君の三人の子をもうけている。
宗明伯父上は、葛伯母様との間に頼忠殿と一の姫こと晶子姫の二人がいる。
梅壺様こと久子様は、二人の男御子がおられるし。
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