第15話「海湖船上戦」

「凄い波だ...十百神カムイ達も俺達に気づいているようだな」


 波は暗黒に染まり、空は暗雲が立ち籠め、不安を煽る黒い風は微かな魔力を含んでいる。

 確信した、十百神のボスは間違い無く海湖ここに居る。


「ねぇエールマ、

私が人間と一緒に戦う理由分かる?」

「そういえば知らないな、教えて!」

「私ね、元々海湖に住んでたの」

「でも縄張り争いに負けて、落ちこぼれになって、

―――海湖から逃げ出した」

「そうなんだ」

「エールマ、私の言いたい事...分かる?」

「リベンジ、だろ?」

「そうよ!!正解ザッツライトよォエールマぁ!!!」


 バザッッ!!! グルルルォ...!!!


 数多の十百神カムイが船上に降り立つ。

既に広い船の上は乱戦状態となっている。


「エールマぁ!!炎の十百神アペちゃんとイチャイチャしてるとこ悪いが俺の背中を守ってくれ!!」

「ソーナン!!すぐ行くッ!」


「目の前の敵は三体、時間は掛けないわよ!!」


 蝙蝠型が二体、大鷲型が一体か。

まだだ、敵が重なる瞬間を待ち....今だ!!


「『魔力一閃』!!」


 ビギャァ!! クジュッ!バサッ


 「大鷲は取り逃し...なッ!!!」


 大鷲は魔力一閃の光に紛れ、空高く飛び立ち、

俺の頭上で急降下していた。


「避けれな...ッ!」 バヂッッッ!!

「油断は禁物だぜぇエールマちゃん」


 ソーナンは電気を大鷲に放出し、急降下のスピードを打ち消し大鷲も倒した。


「ありがとう、ソーナン!」


「し、しかし今の放電で大分充電が減った...これは不味いぜッ!!!」


 彼がそう言うとアペカムイは彼の背中に引っ付き


「この手回し充電機回してれば良いんでしょ?

それなら私が全力でやってるから、あなたは心置きなく戦いなさい」


「...ッ!ナイスだぜアペちゃん!!」


「...あっ、そういえば海湖遠征からソーナンさん真っ白になってますよね?」バシッ!ズォッ!!


「あぁゲーミング鎧は鬱陶しいからやめろってシュローンさんに怒られちまってよ、およよ〜....」

 バジッ! ズザッ! ドン!


「(クソッ...エールマ、お前に手柄は取らせねェ)」


 ルバイラはエールマの近くに引っ付き、

十百神狩りの手柄を横取りする。


「(エールマ!!テメェが冒険者である事は俺が許さねェ!)」 バジュァッ


「(ルバイラさんが戦いを手伝ってくれてる...本当は優しいんだ)」 ドゴッ ダン


「グジュルリャァ!」ズルルルッ

「なにっ」


 エールマにばかり気を取られていたルバイラは、

自分の足に忍び寄る大蛸オオダコの触手に気づかなかった。

 ルバイラは海へ引きずられてしまう。


「グオオオオオッッッッ!!!落とされちまうッッッ!!!嫌だッ負けたくねェ!!」

(アイツより先に死ぬのは...ごめんだッ...!)


 ガシッ!!


「お、重いっ...と言うより蛸の力が強いッ...!」

「エールマ、俺も手伝うぜッ!!」ガッ

「エ、エールマ.....テメェ――――」


「蛸の触手に狙いを定めて...」

「『魔力一閃』ッ!!!」


「ギビジュアァッ!!」ビッ


「大丈夫かァ...?ルバイラよ」

「........ありがとな」ダッ


「あ、行っちゃった...」


 カンカンカンカンカン!!!!


「「「殲滅ゥ〜!!!船上の十百神およそ90体殲滅ゥ〜!!!!!」」」カランカランカラン!!!


 カムツキ班のコウサルが激しく鐘を鳴らし、

船上戦の終わりを告げる。

 曇りは晴れ、空は青く澄み切っている。

大波は沈み、天空大洞窟の全貌が見えて来た。


「さァ行くぞ!!!」

「...ラストスパートだァッ!!!」


 ドッ!


「「「「ウオオオオオオォオッォォォ!!!!」」」」


 [To Be Continued....]

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