第14話「山賊②」

「....レーノンさん、今の俺は八段冒険者だよな。」

  『オオダイ・アガリ』 17歳 八段冒険者


「あぁ、そうだな。

どうしたナイーブな表情をして、らしくないな」

 『レーノン』 30歳 六大冒険者


「俺、始めてエーコクここに来てから二年も修行して、凄く強くなったぞ...と思って。

遂にトノさんから冒険の許可も出て...単独で魔物モンスター五級討伐依頼ファイブクラスハントクエストもこなして...」


「あぁ〜そうか、話が見えてきた」


「...俺、特別討伐依頼を一緒に受ける仲間パーティー探して...

結果四人が集まって...良い奴らだった。」


「オオダイ、冒険者ってのはそういうもんなんだ。

仲間の死も冒険の一種と思った方が良い」


「なんの慰めになってないッスよ、レーノンさん」


「慰めじゃない、慰めじゃないぞオオダイ。

上位の冒険者は皆、仲間の死を無駄にしないように仲間との答えロマンを求めて冒険をするんだ。

あと三ヶ月修行しろ、そして特別討伐依頼を単独ソロで受けるんだ」


「なっ...!」



※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ 

「――――なるほど、それで戻ってきたのか」


「はい、ギュウトウさん。もう一度お願いします」


「(トノも非道い奴だ、こんな少年ガキに...)」

「......冒険者になる者は大半が魔術師としての才能を持ち、そして何かと天性の"能力"を得る」

「お前には今まで基礎しか教えてこなかったが、今日からはその発展にして応用―――――!!

"能力"を習得してもらうッッッッ!!!」


「待てよ、俺にはもうイスヒスがあるだろう」


「いや、大剣イスヒスは「構築忍術テクトンニンジャ」の様な魔力操作の応用と考えられる」


「そ、そうだったのか...」


「まずは神事によって神のお告げを得るぞ」


「は?」


「いや、だから神からのお告げをだな」


「なんでいきなり神が出てくるんだよ!」


「さっきも言ったが能力ってのは天性の物だ、

だから神事で神から気に入られ、お告げを得る事によって大まかな自分の能力の詳細を知る事が出来るんだ。

それから能力の性質に合った修行を臨機応変に行ってもらう」





「―――と、言うわけで俺と今から相撲しろ!」


「なんでこんな神殿の真ん中で!!!」


「神に最も近い建物だからに決まってんだろ!!」


「クソ!ヤケだ!」パァン!!!


「うおっ♡あのガキ凄ェ四股だ...♡」

 気づけば観戦の神官が集まって来た


「行くぜオオダイ!魔力籠めっぞォ!!!」ズォッ


「見てろや神ィ!!!!」 ズォッッッ!!


オォン!♡ パァン!♡ ドォン!♡ アーン!♡

バシ!♡ドシ!♡ブン!♡バッ!♡シュ!♡


「デッケェ腕の方に賭けるぜ!」

「俺は引き締まったチビの方にしよう!!」

「相手が大きすぎるだけで充分ガキもデケェよ!」


「はぁ...はぁ...」

「フッハァ!フッハァ!」


 流石に死ぬほど疲れた


「もう良いだろう、そこの変態神官!水晶出せ!」


「は、はいぃ〜!『鑑定』ですねェ〜!!!」


 そして、神のお告げが始まった。

眩しく光る水晶、そして謎の気体が出てくる。


「これは...触れれる!!羊毛の様にフカフカで、でもどんなに乱暴にしても千切れないし貫通もしない!!」


「これは決まりだな」

「オオダイ!お前には羊飼いになってもらう!」


「はァ〜〜〜〜〜!!!????」


――――そして、伸び伸び修行の出来る領地の広いユートグリラの土地をアペカムイに紹介してもらい、そこで羊飼いとなった。


「匿ってくれてありがとう、エマさん」

「いえいえ、再開出来てとても嬉しいです!」

「オオダイ、今日からはここで三ヶ月間修行だ!」


 正直この時は師匠が熱苦しくて邪魔に感じた。


「という経緯で三ヶ月も羊を育てたんだトノさん!

俺の修業の成果を見てくれ!!」

「名付けて『羊毛の暴挙レヌ・テロ』!!」ズォァッ!


「クク、上出来だ」

「ちなみにギュウトウ、初めてエーコクに来た時も"普通に"鑑定をしたんだがな、イスヒスも能力だったぞ」


「なッ...!」


「...おいギュウトウ」


「ま、まぁ第二の能力が見つかったのは俺の手柄だから許してくれよ〜」


「オオダイ!早速『特別討伐依頼』に挑戦チャレンジしてみるんだ!!」


 ―――――それから先は、まるで鬼神の様な戦い振りだった。そこから付いた異名は師匠から聞いてもダサかったが...実力も伴っていたので定着した。

 そして六大冒険者の一人が欠け、ちょうど良かったので『オオダイ・アガリ』を新しく加入させた。

 しかし、羊飼いの経験によって冒険心の熱が冷めたのか、もしくは愛を知ったのだろうか。

六大冒険者になってからは冒険しごともせずに『ユートグリラ』に籠もっていた。


 [To Be Continued....]

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