第12話「黄金の太陽」

「血の味がする...」

 あれから一睡もせず魔力操作の修行を続けていた。

「魔力を使い過ぎると体への負荷でそうなる、

よく頑張ったな!寝ていいぞ。」


 すやぁ...


「あ!ソーナン!!ワンワンだ!ワンワン!!」

「えー!?時速71kmのウマに並走してるワンワンなんて居るわけ無いよぉ〜!」

「居やがるっっっっっ〜〜〜〜ッッ!!!」

「マジかルバイラ!?マジじゃ〜〜〜〜〜ん!!」

「いや待って!あれ着ぐるみだよォ〜!?」


「あぁ、あれは犬守並走隊けんしゅグループという無防備な馬車の周りを走って護衛する特殊な編隊へんたいだ。

ああ見えて一人一人が七段冒険者に近い実力が持つ、着ぐるみと交わした契約コントラクトの恩恵でな」


「「「こ、[契約コントラクト]!?」」」


「昔から鎧などの防具には魔力が溜まりやすい構造に作られている。ソーナンで言う充電の原理だな。

自分の魔力が切れても、鎧から魔力を取り出して回せるんだ。

それに追加して「鎧を一生着る」という契約コントラクトで自分の魔力出力を爆増させる戦法も取られた。

 そして今の時代は、

[魔力が籠もって溜めやすい]

[同じ契約で鎧と比べて楽に恩恵を得られる]

という性質を持ったハイブリッドな犬の着ぐるみを使われているのだ」


「なるほどな、合理的で画期的だ」

「魔力学ってのは奥が深いですね...!」


「お、海湖デビルマウスが見えてきたぞ!!」


「あのデッケェ大火山湖を超えれば敵の本拠地がある、名付けるのならば...『天空大洞窟』だ」


「なんで天空なんだ?」


「その大洞窟は中から空が見えるらしいんだ。まだ海湖が十百神の巣窟になっていなかった頃、160年前に政府が記した大冒険日誌に書いてあった」


「1240年刊行...エーコク大冒険白書!!」


正解ザッツライトだぜグルルちゃん!」


「僕!あの本大好きで毎日読んでました!!」


「この大陸を北と南に隔てる広大な大河!!

機関作りの街パンクロード!!

海を渡れば出会う新たな大陸!!

海を制する巨大な怪物クラーケン!!

海の中心で孤独に鎮座する巨大大陸「カーセナリルイ」と、そこの固有生物!!」


「僕が冒険者を目指す理由ロマンの九割ですよ!」


巨大大陸カーセナリルイの固有生物は残虐で巨大で最強らしい。今のエーコク冒険者筆頭レベルが12人も集まった精鋭部隊が半分以上死亡し、二日間しか滞在出来なかったという悪魔の地だ。

これにロマンを感じない冒険者は居ないだろう」


 熱い冒険者トークを聞き、目が覚めた。

 そして、やっと海湖に着いたらしい。


「お前ら、気を抜くなよ。ここからが本番だ」


 僕らは馬車から降り、広大で、地平線まで続いている様にも思えてしまう海湖の入り口に集まった。


 ギュウトウさんの班所属である他四人は忍術が使えるらしく、その中の「構築忍術テクトンニンジャ」を発動し巨大な魔動船を作った。


「魔動船を動かす為には魔力を送り続けなければならない、しかし我々冒険者はこの後の戦いに備え魔力を温存しなければならないのだ。

犬守並走隊けんしゅグループ、やってくれるか?」


「「「「「「「「ワンッ!!!」」」」」」」」


「よぉ~しヨシヨシヨシヨシ、偉いな〜!」


「「「「「「「「へッへッへッへッ!!!」」」」」」」」


 凄い、カムツキさん完全に飼い慣らしてる...。


「あれ中身おじさんなんだよな....」

「しっ!エールマそれは言っちゃダメよ!」


ボォォォーーーーーーーーーーッッッッ!!!!

 

 ―――そうして魔動船は、

大きな音を立て運航を開始した。


 [To Be Continued....]

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る