第10話「嫉妬と形容するには、あまりにも重いもの。」

俺の名前はルバイラ―――ルバイラ・ヴィンター

 俺はとてつもない感情に襲われていた、

今にでも人を殺してしまうかも知れない。

これを嫉妬invidiaと形容するにはあまりにも重かった。

傲慢superbiaか?強欲avaritiaか?憤怒iraか?怠惰pigritiaか?

....いや違う、これはluxuriaだ。

俺はトノ様が大好きだった

そんなトノ様の弟子である六大冒険者にも憧れていた、尊敬の様なモノを抱いていた。

――――しかし一人だけ許せない者が居る。

『オオダイ・アガリ』、お前は違う!

 六大冒険者が山賊である事はアガリ・アルコさんの事もあるので100ッ万歩譲って許そう。

 しかし冒険もせず、自閉街ユートグリラで籠もって家族に惚けているお前がどうして『冒険者』なんて名乗っていられようか?

 

 ...正直オオダイアイツが死んだと知って清々したんだ、

清々した―――その瞬間だけはな。


「あなたがルバイラ・ヴィンターさんですか?

トノさんに推薦されて同じ班となりました、

アガリ・エールマと言います。

これからよろしくお願いします!!」


「あぁ、よろしく!

まぁまぁ、座って座って!!」


殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す!


トノ"さん"?トノ様だろうがァ!!!

あぁ、抑えないと、

殺したらトノ様に怒られちゃう......♡ ペロッ


「ありがとうございます!!!!

(この人...殺気ヤバいな?)」


 感謝の気持ちがあるんだったら土下座なりなんなりしてもっと感情を籠めて「冒険者様こんな穢れた人間をお家にあげてくれてありがとうございます」

だろうがよォォ!!

今すぐにでもぶっ殺したい....!!

 でもトノ様の信条おしえは「冒険者は自由であるべきモノ」という信条おしえだ....いくらこんなムシケラアホでも人生という自由を奪うのはトノ様の信条おしえに反する...!!

 それにエーコクの刑法第2編第26章には殺人しちゃいけないって書いてあるからなァ〜

殺人をしたら冒険者権を剥奪されるからなァ〜

 命拾いしたな、トノ様と法律が許せばお前なんて真っ先に殺したんだがな、バカが!!


「君は、トノ様に推薦されて何を思った?」ニコ


「えーっと、特に何も思わなかった...けど」


「けど?」

(いかんいかん、続きが無かったら殺していた)」


「推薦してくれたご恩を、次の海湖遠征ぼうけんで返さないとな...と」


「そうかそうか、君はそういう人間なんだな!」


「...?はい...!!!」


「もう一つ質問しようかな!」

「...君はトノ様をどう思っている?」


「―――父の様に尊敬出来る人間だと感じてます」


そうか...ありがとう!質問は以上だ!「てめェぶっ殺してやらァァァァァァ!!!」」ドッ!!


 ...事前にアペカムイを忍ばせておいて良かった、

ダダ漏れだった殺意を一気に引っ込ませてるんだ、爆発するに決まってるよな。


「動いたら燃やすわよ」

「ウグッ!!!!!!!!離せェッッカスが!!

オメェ卑怯なヤツじゃなァッッッッ!!!

わいのけしんだ親父ん様じゃッッッッ!!!!」


「......」


「ないごてわいみてな穢れたヤツがトノ様に選ばるっどッッッッ!!!解釈違いギルティだッッ!!」

「わいも父と一緒に地獄へ行け!今直ぐに!!!」


「...エールマ、こいつるか?

私の炎なら死体を痕跡も残さず燃やせるぞ」


「アペカムイ、俺なら大丈夫だよ。

それに彼を殺せば大事な戦力が減るんだ、それは一番避けなきゃダメだ」


「だけど...!!」


「アペカムイ、一旦彼の家から出よう」


「...クッ!ルバイラ、お前命拾いしたな...!!」


 そして彼の家を後にした。


「......アペカムイ」

「なんだ?」

「慰めて、怖かった.......うぅ」

「ヨシヨシ、お前泣き虫だなぁ――――」

「...あ!ワンワン!ワンワンだよアペカムイ!」

「わぁ〜わんわんですね〜可愛い〜

でもわんわん寝てるから静かにね〜?」


――――――生き疲れてたゞ寝る犬や夏の月


 [To Be Continued....]

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