第二章「海湖」編
第8話「円卓会議 14日前―――」
「それでは重役7人、
王は神事の為、不参加だ」
「緊急って程でもねーだろ」
そう言った大柄で
六大冒険者は彼と他四人が出席している。
「これから話す要件は二個、どちらの事態も急を要する物だ」
落ち着いた声で話す男はリーン・クロム、
王を護衛するエーコク近剣隊三人衆の一人だ。
「まずは先週の死亡者を整理しよう、
ダイ・サッカール総長を初めとしたエーコク兵士団の精鋭二十六名と
その統計は声に出して騒ぎこそしないものの、 一同の緊迫した表情が張り詰めた空気を作った。
「この統計情報からも分かる通り、多くの人口...つまり戦力が減った。
この事から、次に魔王軍が攻めて来るのならば 今度こそエーコクの終わりだろう。」
クロムはここからが本題だ、という声色で言う
「それは何としてでも防がなければならない!!
案を話し合う為、王はこの十六人を呼んだのだ!!」
「ならば、先に我々の様な猛者が魔王を討てば良いだろう。トノよ、六大冒険者と共に魔王の痕跡を追っているのだろう?」
「まーそうじゃな、だが一ヶ月は住処を突き止められないないじゃろう。
魔王や四魔界の
「そう言えば二個目の要件ってのは何だ?」
「イソサンケカムイというエーコク直属の十百神の密告なんだが、海湖の連中がエーコクに攻め入るという情報が入ったんだ。
それとどう戦うかというのも議題に入る」
「その情報が嘘じゃない根拠はあるのか?それに海湖だけじゃなく、
そいつらと戦うってんならマズいんじゃないか?」
「
天罰により、最悪死に至ることもあるだろう。
それに海拷殿の十百神は人類に好意的かつ、絶賛海湖と抗争中だ。」
「待てよ、天罰ってのは何だ?
「そうか...十百神の研究はまだ発展途上だから国の重役に知らせる事はしなかったな。
『
これを裏切るという事は大いなる神を裏切る事になる。そして裏切った先に起こる事が『天罰』だ、
文字通り天からの制裁ってわけだな。」
「なんだそれは...」
「納得行ってないご様子だな、だがこれは事実だ。我々、神学研究者が何回も検証と研究を重ねて確定した事実なんだよ。なんなら今見せてやろうか?」
「おい抑えろよ、これだから神教徒は...」
「喧嘩している場合ではないだろう。
私としては『ユートグリラ』との合同訓練を立案したい、あそこは人口が多いからな。魔術の才能はあるのに冒険者をしないのが不思議なくらいだ、そうだろう?アッカムイ殿。」
「ええ、あそこの住人は私から見れば金鉱の様ね」
「それは良い、合同訓練はどこで実行するとお考えであられるのだ?」
「地図上のユートグリラ・エーコク・
名前は...「テントレンガ村」だったか?」
「なるほど、エーコクやユートグリラでは訓練中の奇襲の可能性があるという考えの案だな?」
「勿論だ、それにもし居場所がバレても、テントレンガ村は山に囲まれ、防衛に向いている。」
「ユートグリラの住民はそれに賛同するのか?」
「何を言っている、エーコクの外交力は世界一だ」
皮肉屋な重役が口を挟む
「今存在が確認されている国はユートグリラ・エーコク・パンクロードの三国だけだろう...」
「海を隔てた大陸にガガンガルンもあっただろ」
「ガガンガルンは戦闘にしか興味が無い低能集団だ、およそ国とも言えん。」
「確かにユートグリラの民が大人しく従うかはいささか疑問だな、それに対する対策はあるのか?」
「それは儂に案が有る」
「何か秘策があるのか?トノよ」
「秘策ってほどでも無い単純な事だ、
ユートグリラは冒険業とかの稼げる仕事ってのが無いのでな、夫妻でわざわざエーコクに行ったりして共働きってのが多いんじゃよ。後は分かるな?」
「つまり、合同訓練を稼げる仕事にしろと?」
「そうじゃ、重役殿は金さえ出してくれれば、
後は儂らに訓練や面倒事を任せれるぜ」
「なるほど―――――」
「まとめるぞ、
エーコクは高い給料で「ユートグリラ」と自国の住人を集め、「テントレンガ村」に合同訓練基地を作る。そしてトノ殿らが訓練と運営を担当する。
...で良いな?決を取ろう。」
その場の全員が手を挙げた。
「では海湖だが...」
「それも儂に案があるんじゃが」
「なんだ?」
「儂と六大冒険者が5人ずつ推薦した精鋭冒険者の計三十五人、それぞれ七個の班で海湖を襲撃するってのはどうじゃ?オオダイの分は儂が勝手に決めよう」
「それは良いが...なぜ五人なんだ?」
「長年の経験じゃ、冒険者の
「どうせ正面から戦争すんなら全冒険者連れて行ったほうがいいんじゃねぇの?
エーコクの兵士も貸すぜ」
「ぶっちゃけ、選び抜かれた精鋭じゃないと足手纏いなんじゃよ、悪いけど。
それにエーコクの兵士も合同訓練に行って貰いたいからの」
それから円卓会議は、最初に挙げられた議題の他にも話すべき問題が湧いて出てくるので丸2日行われた。
[To Be Continued....]
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