第7話「鎮火」

「全て上手く行った、上手く炎を吸収出来たから炎矢えんやによる全力の攻撃が出来た、

エールマもグルルも私が盾となったから無傷。

対してあなたは生命力オーラを全て使ったから防御も出来ずに、私の攻撃えんやをまともに受け、治癒も出来ない」


「そんな長々と説明しなくても分かるよ、

もう"詰み"だ、『山賊王である所以ロイヤルビクトリー』の規模的に加勢も直ぐやってくるだろう。」


「おーーーい!大丈夫かァー!!」


「(噂をすればか....)捕まって処刑なんてのはゴメンだ、俺は誇り高き自害をしよう。

山賊は永遠だ、後継ぎがすぐリベンジする」


――そう言い遺しポトポトは首を断ち切った。


「ごめんアペカムイ、君に任せっきりだ」

「いや、お前と契約していなければ許容量以上の炎だった。この賭けはお前が居ないと勝てなかったよ」

「...そうか」


 それにしても、疲れ――――っ


[ミルク大宿街]――――――――

「お、起きたのぉ」


「だ、どちら様でしょうか...」


「寝ぼけているのか?トノじゃよトノ」


「あ、あぁ...トノさんですか―――」


「お主、丸々3週間寝てたぞ」


「えェ!!??」ガバッ


 そんな事実を聞き、思わず飛び起きてしまった。

待ち伏せた様に窓から差す夕日で目の中が黄金色こがねいろらされ、辺りを見渡すとそこにはトノさんとグルル君が居た。


「多分魔力を一気に使い過ぎたのが祟ったんじゃろ」


「あはは、やっぱりそれですか...」


「さて本題に入ろう、悪いニュースと、良いニュースと、お主次第で良いニュースがあるんじゃ。

まずは悪いニュースから、」


 あまりにも単刀直入な話の切り出しでビックリしてしまい、返答も出来ない内に、というより待たずにトノさんは話し始める。


「お主の父、そして六大冒険者である『オオダイ・アガリ』は魔王まおうシューベルの強襲により、激闘の末死亡した」


「......」


「次に良いニュースじゃ、魔王軍の死番である魔帝伏魔殿まていふくまでんは全滅。

そして魔王シューベル及び、その側近である四魔界よんまかい六大冒険者ろくだいぼうけんしゃ達の死闘により、瀕死の状態まで追いやられ撤退した。

これは間違い無くオオダイの活躍じゃ」


「...そうですか―――」


「次はお主の捉え方にもよるが...

梟の十百神イソサンケカムイというエーコク直属の十百神カムイが居てな。そやつの密告により、エーコクここから北西1300km先にある海湖デビルマウスという巨大な火山湖に住む敵性十百神ウェンカムイ共がエーコクに攻め入る計画を立てていると分かったんじゃ」


「――!そんなッ...!!」


「こういう案件は上位冒険者が行く物じゃが、儂や六大冒険者らは魔王の痕跡を追わなければならない、住処が分かるかも知れんからのォ。

だから儂と六大冒険者の上位七人が、一人五人ずつ推薦した計三十五人で先に攻めてしまおうってわけじゃ、それに海湖の十百神れんちゅう海拷殿かいごうでんという人類に好意的な十百神組織と抗争中でもあるしな」


「......で、それがなんなんですか....?」


 僕は八つ当たりの様な口振りで言ってしまう。


「儂、お主を推薦しようと思っとるんじゃ。

あの山賊の長を討ち取った期待の新人だしな」


「そんな言葉で俺が喜ぶと思わないでください」


「それにグルル君も儂の推薦した班にるんじゃぞ、お主を看病してる間ずっと一緒に冒険したいって言っといた。」


「ッ....!」

 なんて卑怯な爺さんだ、と思った。

そしてグルルの方を見ると、足元を見て恥ずかしがっていた。


「まぁ、出発まで期限は三日ある。

じっくり考えるんじゃぞ!」


 僕は様々な思いで目が眩んだ。


 [To Be Continued....]

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