第4話

 白い肌も透き通るような感じで女であるはずのあたしよりも綺麗な人である。けど、身長は十センチくらいは高いと思われる。

 そんな人なだけにあたしは見惚れてしまいそうになった。

「…おい。私をジロジロ見て何のつもりだ。とにかく、この場から離れるぞ」

「……わかりました。ごめんなさい」

 素直に謝ったけど、何故か無視されたのであった。




 そして、二十分は歩いただろうか。アルさんはあたしを引きずったままで村から出たらしい。近くに馬を繋いでいるからと言われてあたしは驚き過ぎて言葉が出てこなかった。

 ええ、自動車とかバイク、自転車じゃないの?!何で、馬なのか、見当がつかなかった。

 アルさんはずんずんと歩き続けてふと、立ち止まった。

「ミヅキ。もしやと思うが。そなた、馬に乗った事がないのか?」

「……な、何でわかるの?」

 後ろを振り返ったアルさんは何故か、少し呆れたような顔をしていた。

「いや、私が馬と言った瞬間、固まっていたからな。それでわかったのだが」

 あたしはなるほどと思った。こちらの反応で何となくわかったらしい。

「確かに馬は乗った事がないんですけど。そうだな、牧場で見かけた事があるくらいかな」

「…そうか。だったら、乗り方を簡単に教えてやるから。馬の手綱は私が握る。前に横座りだったら何とかなるか」

 ため息をついてアルさんはあたしを憐れむような目で見てきたのであった。すごく、腹が立ったけど。




 それから、アルさんに馬の乗り方を言葉通りに簡単に教えてもらった。意外と馬は背が高く、足をかける所、鐙(あぶみ)に左足を乗せて勢いをつける。背中に着けてある鞍に跨るとアルさんは横座りができるかと聞いてきた。

「とりあえず、前に行ってくれ。横座りが無理そうだったら、そのままでいい」

「わかりました。横座りより、普通に跨る方があたしの場合は良いみたいです」

 そうかと言うとアルさんは馬の手綱を握り、腹の部分を軽く蹴った。すると、馬はおとなしく走り出した。

 全速力ではなく、軽く小走りと言ったところだが。それでも、徒歩で行くよりも早く、森を抜けていった。

 馬はあたしのいた所でいうサラブレッドより一回りくらいは小さい種類のようだった。あたし、自慢じゃないけど。

 いとこが北海道の牧場で働いていて両親に連れて行ってもらった事がある。五、六回くらいは行っただろうか。

 その時に馬や牛を見せてもらったり、世話を手伝った事があった。

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