第45話

「そー言えば、名前は?」



唐突に問われて。



…だか、ら…、あまりにも唐突すぎた、から。



「…あっ、と…たけだ…、じゃなくてッ…!や、山下、です」



シドロモドロで答える、も。



「…違うってー。名字なんかどーでもいーんすー。名前ー。下の」



怠そうに、返される。



「…あ、海乃、…です」



「…かの、さん」



私の名前を繰り返すくちびるを、無意識に見つめる。



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