第44話

「…ん…?」



その横顔が、ふいに、私の方へ向けられて。



雨に濡れたビニール傘越し。



ゆるい日差しが、雨粒の陰を、彼の頬に作っている。



「…あ、ありがたいな、と、思って」



素直なココロの声が漏れた、私に。



「そー?そりゃ、良かったっす」



ふわり。



笑ってみせた。



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