第37話

勢いよく、歩き出したのだけれ、ど。



ぼこぼこと舗道に開いている穴に、ことごとくスーツケースの車輪が引っ掛かる。



…もうッ…!!



八つ当たりに近い気持ちが、胸にせりあがってくる。



ただ、真っ直ぐに歩きたいだけなのに。



早く部屋に入って、すべて忘れて眠ってしまいたい。



…それだけ、なのに。



それさえ、赦されないのだろうか…



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