第34話

「…ん?ほら」



いつまでも、手を取らない私に、再度、ぐっ。と、手のひらを差し出す、彼。



おずおずと、その手のひらに、右手を預けた。



ぐい。と、そのまま引っ張りあげられる。



細身のカラダなのに、思いかけないその強さに、驚く。



「…なにを、びっくりしてんすか?」



真っ直ぐに、私を見つめる両瞳、に。



「…あ、細身なのに、チカラ強いんだな、って、」



思って。



続けようとした、私のコトバ、は。



「これでも、オトコなんでー。あなたよりは強いっす、よ?」



遮られた。




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