第32話
「…しっかり、聞こえてますけどー。舌打ちー」
後ろから、ふいにかかった、声。
同時に、握っていたスーツケースの持ち手が、ふわり、と、持ち上がって。
あの細い指さきが、ほんの一瞬、私の指に触れる。
…きゃ…ッ…!
思いがけない感触に、まるで灼熱の鉄を触ってしまったような感覚に襲われて。
瞬時に手を引っ込める。
同時に、傘を握っていた左手まで離してしまって。
気がついたら、舗道に尻もちをついている。
・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます