第26話
背中で、カラカラとドアベルが鳴る。
その音のがしたほうに、反射でカラダを向ける。
「あら、こんなどしゃ降りなのに、お客さん?」
女性、だ。
シンプルなワンピースがよく似合っている。きっと高いワンピースなんだろうな。
私の着ているシャツとは、雲泥の差、だ。
緩くまとめられた髪の毛も、ベージュのネイルも、センスがいい。
60歳くらい、だろうか。
彼に話しかけた、女性。
「客、っつー、か。拾ったんです」
彼の声が、店内に響いた。
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