第27話
「『拾った』だ、なんてー。ごめんなさいね。伊織くん、ぶっきらぼうだから」
でもね?コーヒーを淹れるのだけは上手なのよ?
言いながら、彼女が私の目の前に出してくれた、コーヒー。
「オーナー、『淹れるのだけは、』って、なんすかー?『だけは』ってー」
カウンターの向こうで、彼が気怠そうに突っ込んでいる。
「あらー、ほんとのことじゃない」
ね?
なんて、おだやかに私に問いかける。
…あぁ。とか、はい。とか、いえ。とか、曖昧に頷いた。
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