第20話
突然、降り続いていた、痛いほどの雨粒が止んで。
盛大に戸惑いながら、歩みを止める。
「…声、かけたんすけど、雨のせいで聞こえなかったみたい、だったから」
頭上にかかる、ビニール傘。
ぶっきらぼうな、口調。
何を考えているのかわからない、瞳の色。
長い、金髪の前髪からは、雫が垂れている。
とてつもなく綺麗な顔の、黒いエプロンをつけた男のコが、雨に濡れるのも厭わずに、私に傘をさしかけている。
「…え、あの…濡れてます、よ…?」
びっくりして、私にさしかけられている傘を、避けようとする。
「…コーヒー、」
…え…?
雨音のせい、で、聞き返す。
「コーヒー、好きっすか…?」
思いもがけず、やわらかな声に、動きを止める。
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