第19話
ざーざー、と、耳に入る、雨の音。
前髪を伝って、雨粒が頬を流れてゆく。
カラダに貼り付くシャツが、気持ち悪い。
早く、室内に入りたい。
思いながら、足早に歩く。
…と、ふいに背中で、カラカラとドアベルが鳴る音がする。
こんな雨の中だから、もう少しゆっくりすればいいのに。
せっかく、雨粒を防げる場所があるのだ。
…私と、違って。
…惨めすぎる、な…
うつむきながら、ひたすらにただ、歩き続ける。
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