第16話

「…おー、降ってきたねぇー」



少し、開けていた窓からは、ぬるい雨のにおいがしだした。



雨を含んだ、ぬるい風が、伊織くんの素肌をなぞってゆく。



鎖骨に絡まって、うねうねとカタチを変えている、ゴールドのチェーン。



そのトップ。には。



意地悪く、ゆるく、光を集めて輝く、ゴールドのクロスが揺れている。



神さまに、赦してもらえるはずが。ない。



こんなに正しくない、ふたり。



…どこまで、ゆける…?



どこまで、ゆく気、だろうか…




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