第15話
一息ついて、私もカップをローテーブルに、置いた。
ことり。と、静かな部屋に音が響く。
仲良く、湯気をたてている、黒いマグカップ。
伊織くんが、何度目かにこの部屋に来たときに、持ってきてくれたもの、で。
ふたつともおんなじ色だったら、どっちがどっちのか、わからないんじゃない?
問いかけた、私、に。
「どっちのが、どっちのでも、いーでしょ。海乃さんのものはオレのもので、オレのものは、海乃さんのものでしょ?」
…それは、この関係のことを言っているのだろうか…
相変わらず、本音は聞けずじまい。
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