第11話

「……きゃ…ッ…?!」



勝手に喉から悲鳴が漏れたの、は。



「…ふふ。かーわい」



いつまでも動かない私の右耳に、伊織くんが息を吹き掛けたから、で。



その拍子に、胸を覆っていたシャツが、膝の上に落ちた。



「やればできんじゃん?」



さっきとまったく同じセリフを吐き出す、くちびる。



そのくちびるは、リップさえ塗っていないのにいつも、ふんわり光を放っている。




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