8.聖子先生とさおりちゃん

第12話

「まじか」鈴木。

「なにそれ」斉藤。

「誘拐だー」松山。


しばらくして、岩木と結城といじめっこたちは円を作って座り、みな落ち込んでいた。図書室に行くのを中断し、今は学食の中にいる。冷蔵庫の中の腐っていないものを食べつくすみんな。そうして会話している。


「なんで、女二人を誘拐したんだ?」

岩木の言葉。みんなはわけが分からず、談義している。すると、岩木のスマホが鳴った。LINEが届いたのだ。


「あ、聖子先生だ!」

岩木の発声。


「なんて?」リーダー。

みなの視線が集中する中、岩木の絶望の声。


「従軍慰安婦の庵にいるって。助けて! レイプされる!! って」岩木。


「まじですか?」とリーダー。

「先生、それまじ!!!」鈴木。


岩木が立ち上がるも、いじめっこたちがそれを止める。


「もう、ダメっすよ。助けに行っても、手遅れかも?しかも軍人が一杯いるんでしょう? 行ったら俺ら殺されるかも?」松山。

「聖子先生がレイプかぁ!」鈴木。

「え?てことは、さおりちゃんも?」斉藤。

「二人ともすごい美人だから」鈴木。


「そんなんで誘拐するのか?」岩木。

「俺、聖子先生大好きだったのに」

リーダーが叫ぶ。


そうだったのか?と結城は思い言う。


「俺のマドンナはさおりちゃんだよ」


「助けに行く?」鈴木。

「望まぬセックス三昧も楽しいかもよ!」斉藤。

「ないないないない」松山。


「もう手遅れでソープ嬢みたいになってるんじゃない?」斉藤。

みんな好き勝手に言う。


その夜、結城は、タオルケットにくるまり、オナニーをしていた。自分自身をつかみ、単調に手でこする。さおりを想うともう居ても立っても居られなかった。


さおりがソープ嬢に? そんな残酷で沈美なずりネタはないと思った。


「ん!」

岩木の寝言。それを聞き、びくぅっと結城は体を揺らす。

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