第49話

松澤大樹と別れ、自宅。


「殴るのはだめ、蹴るのもだめ」


伊佐木の独り言に反応する妻。

「あなた、なんなの?」

「はなの倒し方だよ」

伊佐木は言葉を続ける。


「現代のヒーローというか、実在のヒーローは案外戦いづらいな。暴力をふるっては逮捕されてしまう」

伊佐木は語る。


「倒すと言えば、聞こえはいいけど、殺人したら逮捕だ」

「まぁ、物騒ね!」


「具体的なはなの倒し方が分からない。衛星はどうなる?どう倒す」

伊佐木が困惑している中、娘がテレビをつける。


「まぁ、さつき、受験生はテレビ禁止よ」

と妻。


「固いこと言わないで、ニュースだから」

そこで伊佐木がはっと気づく。


「そうだ、ニュースがあった」


「なぁに」

「わかった」

伊佐木は慌ててネットにつながったパソコンに向かうと、キーボードを連打し始める。


突然の伊佐木の動きに、妻が不思議そうだ。しばしの伊佐木のタイピング。妻がノンカフェインのお茶を持ってくる。


「まぁ、どういうことなの?」


「わかったんだよ、まずは1クリア。はなの倒し方です」

意気込む伊佐木。


「ペンは剣より強しってね!」

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