第44話
「ヒーローパパ♪ ヒーローパパ♪我らは戦うヒーロー一家♪」
翌朝、朝食の時間帯にさつきが歌っている。ほほえましく、さつきを伊佐木と妻が見つめていると、
「いたたたた」
さつきが苦しみだす。
「だ、大丈夫か?」
伊佐木が叫ぶと、
「お父さん、お母さん、私おなかが痛い。学校休む」
そうして、さつきはベッドに再びもぐりこむ。
さつきを見やり、そうして出版社に向かおうとする伊佐木は叫ぶ。
「は!これもはなの仕業か?」
出版社に遅刻をする旨を電話で伝え、家にある咲斗の文献を読み漁る。
「あった、ここだ」
殺戮衛星はどうも病気を作ることが出来るらしく、攻撃は主に脳の破壊に重点を置かれているが、その他の部分も拷問にかけることが出来るらしい。
「一体どうすれば」
伊佐木は妻に事情を話し、あまり騒がないようにさせ、会社へと向かった。伊佐木は、編集長に殺人鬼はなのことを伝えようかどうかをかなり迷った。松澤大樹にも。家に帰ると、妻が
「さつきを病院に連れて行ったの、そうしたら」
「そうしたら」
おうむ返しの伊佐木。
「胃炎ですって」
「そうか」
伊佐木は心でつぶやく。はなは関係あるのか、ないのか?そうして思考盗聴はされているのか、されていないのか?伊佐木は、翌日仕事終わりにアイドルのグッズショップに行き、はなのグッズを買いあさり始めた。
伊佐木のつぶやき。
「敵に動きを見られる中、ヒーローはどうやって戦うのでしょう?」
はなの写真集を眺めたり、DVDをソファーに腰かけ鑑賞しながらつぶやく伊佐木。はなも相当手広く仕事をしていたみたいだ。
「あなた夜食よ」
と妻が、剥いたももを持ってきた。
「うん」
伊佐木の座っている横に妻が座り、一緒にはなのDVDを眺める。幻聴は聞こえない。
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