―　一方、伊佐木。

伊佐木は松澤大樹に向かって叫ぶ。あれから何度もコンタクトを取り、すっかり仲良くなってしまった。

「幻聴が聞こえなくなりました。これって、解放ってことですかね？まだ一日目だけど」

と伊佐木。

「そうかもしれないし、そうでないかもしれないし。伊佐木君自体、何もしていないんだろう？」

松澤大樹の言葉にちょっと怒り気味の伊佐木。

「ぬか喜びですか？殺戮衛星から、まんまと逃げられたわけではないんですか？僕は、また殺されそうになるんですか？」

伊佐木の言葉に眉一つ動かさず、松澤大樹。

「そうかもしれないし、そうでないかもしれない」

「松澤先生、先生は、日野咲はなという人物はご存知ですか？脳が裂けて死んだ咲斗の性交渉の相手で、どうも統合失調症化に関係しているのですが。咲斗の文献を漁っていると出て来ました。調べた方がいいですか？」

伊佐木は松澤大樹ににじり寄る。

「関係あるかもしれないし、関係ないかもしれないし。まさに神のみぞ知るだな」

ひょうひょうと松澤大樹は答える。

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