第23話

何とか松澤大樹をなだめ診察を受けようとする。すると松澤大樹が言った。


「指定の医院で、まずは私の考案した独自の角度のMRI撮影をしないとどうにも診断できないのでね!予約を取って、撮影して来なさい」


その日のうちに、伊佐木はMRI撮影に向かった。なぜなら、ここまで来るのに新幹線に乗ってきたからだ、宿泊代も馬鹿ならない。このまま、すぐ松澤大樹の医療を受けるぞーと意気込み。


「ヘッドホンはちゃんとはまってますか?このヘッドホンから音楽が流れますんで。何かあったら、このブザーを鳴らしてください」


てきぱきと動く技術者たち。伊佐木は頭をMRI機材で固定され、ヘッドホンからクラッシックが流れ、どうにもわけのわからない状況に置かれる。そうして、この手に持たされたブザー。いたずらで鳴らしたら、みんな困るのかしらん、そんな邪心を抱えている間に、伊佐木のMRI撮影は終わった。


そうして、巨大なMRI写真を抱え、タクシーに乗り、再び未来クリニックへ。写真を見やりながら、松澤大樹が言う

「脳に穴は開いていないようだね」

そう言葉を続ける。

「普通、統合失調症の患者さんは、脳に4か所亀裂が走るんだけれど、その亀裂が一切ないから、君は健康体だよ」


松澤大樹の言葉にすがる伊佐木。


「でも、幻聴が聞こえるんです!幻聴が聞こえたら、統合失調症でしょう?」

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