第9話

― 一週間後。


あずさがはなの座席前に立ち言う。

「はなさん、あなたの口臭だったんだってね?」

そこまで言い放ち、まだ言葉を続ける。辛辣だ。

「ずうっと教室が臭いのは、あなたの口臭ですね!って言っているのよ」


はなはばれたと思いながらも言う。

「違う」

「違わないわ」

あずさは確信を帯びて言う。

「モデルだかなんだか知らないけれど、調子こいてカメラに写っている暇があるなら、女の子としてのエチケットを守ったら?」

それを聞き、二宮。はなの隣の座席だ。

「あーそれでカバーしてたんだ。ごまかしてたの?わらける」


はなは窮地に立たされ、叫ぶ。

「あ、あたしは」

「くさ!」

はなの一言はあずさに一刀両断される。


「うんこくさいから、口を開かないで」

そこまで嫌味を言うあずさにはなが切れて睨む。

「お前ら、さんざん人を持ち上げといて、言うにことかいて、それかよ、最悪なコミュニケーションをどうも」


はなの言葉にあざ笑うあずさ。

「口臭もちが私たちと対等に話せると思ったら大間違い」

あずさの嫌味に二宮が乗る。

「わらける。綺麗なだけにわらける」


その二宮とあずさの言葉にはなは泣き出す。

「お前らみたいな基地外は、統合失調症になっちまえ!」


はなの意味不明の言葉にかえすあずさ。

「は、何の事?統合失調症ってなにさ」

そこまでで終わるかと思いきやあずさはさらに言葉を追加する。

「もう学校に来るのやめて、モデル業に専念してくださいね!教室が臭いのを我慢するのはご勘弁!」


家に帰り泣きじゃくるはな。


「お父さん、お母さん、だから、私学校に行きたくなかったのに、口臭のせいで馬鹿にされた」


涙でぐちゃぐちゃになる。それを見た母がなだめる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る