第5話

お弁当作りが終了しかかった妻のもとに行き、叫ぶ伊佐木。

「幽霊がこの家にいるぞ!」

「お前も聞こえない?」

「ほら、また言った。死ね死ね死ね!お前を殺してやる!」


絶叫する伊佐木に、怪訝そうな妻。

「何も聞こえないわよ!」

「そんなバカな!俺にしか聞こえないのか?」

「幽霊が張り付いているの?」

と妻。ますます怪訝そう。

「まじか!怖すぎ!」


伊佐木は、ふらふらしながら、仕事のバッグを開く、出来たお弁当を突っ込もうとしたのだ。そこに出てくる、統合失調症の文字列。


(え?俺、統合失調症?)

伊佐木が戸惑う。

(え?幽霊?え?幽霊よね?)

伊佐木がそう思うのも無理もない。

(え?統合失調症ってウツラナイよね?)


青ざめた顔で妻に告げる伊佐木。

「俺、統合失調症かもしれない。統合失調症の資料を仕事で、受けたから、何かの強迫観念かな?精神科に寄ってく」


―3時間後、精神科にて伊佐木。

「先生、幻聴が聞こえるんですが、霊ですか?それとも統合失調症ですか?」

青ざめながら精神科医に尋ねる伊佐木。

「統合失調症です。お薬を出しましょう!飲んで、ちょっと様子を見ましょう」


―翌日、伊佐木。

本来は次の日に精神科に訪れることなどないのだが。一向に薬が効かず、伊佐木が焦って精神科を訪れる。


「まだ、聞こえますか?」

精神科医の言葉。

「聞こえます!今言ってます。お前はくずだ!死ね!」


「薬を強くしましょう!」


まじか、まじなのか、処方された薬を鞄の中に、伊佐木は会社に向かいながらつぶやく。


(まじか)


伊佐木は嘆く。変なデーターを受け取ったからだと嘆く。そのせいだとは思いたくないが、咲斗は確かに統合失調症だった。一瞬、咲斗のデーターを脇の川に投げ捨てそうになるも、伊佐木は思い返し。このデーターの中にもしかしたら、回復の糸口があるかも!と思いなおす伊佐木。会社に向かう。

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