第27話

隣の軍曹がカルマン大統領に

話す。


「確か、バックアップ

データーがあります!」


「どうにか解決しろ!

核ボタンは復旧次第押す!」


はがいじめのままに、

カルマン大統領が叫ぶ。


息をひそめて

記者たちがことのなりゆきを

観ている。


テレビの生放送が

世界各国で流され、

全人類がかたずをのんで、

事の様相を見つめている。


―ここは

統合失調症の

伊織の自宅。


伊織が叫ぶ。


「さぁ、いけ、

脳内ハッカー!

カルマン大統領に

ぶちかませ!」


『で、できません』


「いけや!

お前はあほか!」


『こ、こわい』


「いけぇぇぇぇぇ!!!!」



―記者会見場。

イリアの電話が

室内にだだ流れる。


さすが世界警察。

だけど、危機は

まだまぬがれていない。


『復旧できました!』

軍曹の伝達。


「かせ、押す!」

カルマン大統領の隣の

軍曹がカルマン大統領の

手元に核ボタンを持ってくる。


唖然とする

世界警察。

突然のイリアの電話を

会場につないだのは、

正解だったが、

みな絶叫する。


だが、何も起きない。

カルマン大統領への言葉。


『データーがまた消えました』


電話の先の

軍曹がはっと気づくと

ホストコンピューターに

繋がれたバッグアップの

システムからデーターが消え始める。


そうして、

電話口からこんな声が

会場に響く。イリア語だ。


『なんで、バックアップを

本体につないだままにするんだ!』

『普通はそうしますよ!』


まずそうな会話に、

カルマン大統領が焦って叫ぶ。


そのいらだち具合と来たら。


「一体どういうことだ。

何が起きているんだ!

話せ! お前ら、ブチ殺すぞ!」

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