第12話

今は核弾頭が使われるか

使われないかの時、


いまだメールの内容に

目を通さぬ社員たちは

とまどうばかりだった。


だが、ひとたび配られた

メールを見ると

社員たちの目が

確信の光を宿した。


社長はマイクを持ち、

とうとうと語りだす。


「今回の戦争では、

我々のゲームのあり方が

問われている。


確かに、我々のゲームで

ゴブリンは倒される、

戦闘機も爆撃される。


確かに戦争を

助長していた節が

あったと思う。


今回みんなに

読んでもらった

一通のメールを振り返れば


我々が核兵器を

廃絶するゲームを開発する、

それもありかもしれない。


それは正しい話だ。

私は反省した。


確かに

作るゲームの目指す方向性を

変え、ユーザーたちを

正しい道に導くことも

いいと思う」


そこまで

話を聞き、社長の言葉に

意見を言いたくなる社員は

大勢いた。


だが、今は

社長の話を聞く時間。

じりじりと焦りを

覚える社員たち。


だけど、次なる

社長の言葉にて、

社員たちは納得をする。


「だけど、

もう我々には、時間がないと

思わないか?


核兵器が動くのは、

明日の正午だ。


そこでみなに

お願いがある。


この戦争をゲームではなく、

我々の力で止められないか?


ということなんだ」


社員たちが

感嘆の声を上げる。

大所帯なため、

声はうねりとなる。

アクアには力がある。


それは確か

それに意気込み

社長は声を荒げる。


「ゲームプログラミングは

ありとあらゆるシュチュエーションを

想定して、架空だけれど、

ありとあらゆる結果を

ゲームオーバーとして打ち出す。


もしかしたら

もしかしたら

我々は、戦争に強いのでは?

戦地のシンクタンクの上を行く

頭脳集団なのでは?


いくつもの

戦争ゲームを打ち出してきた

我々なら、


この戦争に勝利する

知恵を編み出せるのでは?

とそう思った。


みんなに提案がある。


イリアの核兵器、

そうして兵器を統括する

メインコンピューターに

侵入し、


そうして

兵器を管理する

管理データーを

全抹消してくれ。


全責任は

社長である私が取る。


決して日本が動いたと

悟られないように、

カモフラージュして、

兵器の管理システムの

全抹消だ」


社員たちが

顔を見合わせる。

ざわめく社員たち。

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