四章:少年の涙
第8話
やがて、男が全くの初対面にもかかわらず、少年は、ぽつりぽつりと飛び降りようとしたワケを語り始めた。
そうして、全てを語り終える頃には、泣いていた。泣き顔を見られるのが恥ずかしいのか、少年は顔を覆い隠すように両膝を抱え込んで、嗚咽をあげる。
「死にたくないよ・・・僕だって死にたくない・・・だって、まだやりたいことだっていっぱいあるし・・・」
喉の奥から絞り出すように語る少年。声が少しぐもっている。
「じゃあ、死ななきゃいいじゃないか。」
そう言いながら男は、指先で2、3度タバコをはじき、アキ缶の小さな入り口に器用に灰を落とした。缶の底に残ったコーヒーに灰が落ち、みるみる水気を吸い取ってゆく。
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