五章:再会
第16話
数ヶ月のち、男は異例の早さで出所する事となった。強盗とはいえ、結果的に誰一人傷つける事が無かったことと、何かを奪うといった行為を一切行わなかったという点も刑の軽さに対する由来だろう。
「先生、トッド警部。世話に成りました。ようやくオラも出所する事が出来ました。」
嬉しそうに二人の手を両腕でつかみぶんぶん勢いよく握手する男。
「フォード先生には、ウチの坊主も随分世話に成ったみたいで。」
「ところで、先生方、早速うちのジェミーに会いに行きたいんですが。オラがこんなに早く出所出来たのも、ジェミーに会いたいっしんで。へぇ! へへへ。」
男はテレながら頭を掻く。そんな男の嬉しそうな表情とは裏腹に、ケビンとトッド警部の表情は暗い。二人が顔を見合わせたのち、トッド警部が口を開く。
「いや、その君の奥さんなんだが、かなりの重病でね。君にも病気がうつってしまう危険性があるんだよ…それでと言っちゃあ何だが…」
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