第15話

振り下ろすクワを持つ手をゆるめず野獣男が言う。




「べっぴんだぁ? 笑わすな! お前のような、強面にどこのどこからべっぴんな嫁さんがくるゆうんじゃ」




横やりにもメゲずに男はにやにやする。




「見るか?」




男は作業の手を止め、薄汚れた作業服のポケットから、やや古ぼけた写真を取り出した。




「これ、これじゃ、ウチのかぁちゃん。よう、目ん玉くりぬいて見てみい。」




「「おおー」」




周囲にいつの間にか囚人達が集まってきて、ジェミーの写真を一斉にのぞき込んでいる。




「美女と野獣たぁ、こういう事をいうんよのう」




しみじみ一人の囚人がつぶやいた。




「人聞きのわりぃ…」




「うっへっへっへ…」




そう言いつつも、野獣男の顔は嬉しそうだった。

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