四章:真実
第12話
ここは、ケビンの診察室。あのキャンディのマジック以来、すっかりケビンになついてしまったケリーは、このケビンの診療室にすっかり入り浸りである。父親が強盗の罪で刑期を経るまで…という事で、ケビンもあたたかく迎えている。
いつものように甘いキャンディを舐めているケリーが、ぽつりとつぶやいた。
「とうちゃんは、かぁちゃんが男と逃げたって言ってるけど……。ホントは違うんだ…」
書類を整理していたケビンは驚いた顔で、ケリーを振り返る。
「ケリー、君は何か知ってるのかい?」
ケビンの問いかけに、うなずく少年。続けて少年は口を開いた。
「かぁちゃんは、病気で療養するために、島の病院に入院してるんだ。」
「なんで、お母さんはそのことを君のお父さんに言わなかったんだろうね?」
少年は今回の問いかけには首を横に振った。
「分かんない。でも、とうちゃんだけには、絶対に内緒にしてって…かぁちゃんが何度も言うから…。僕、ホントはかぁちゃんのお見舞いに行きたいんだけど、でも、おばぁちゃんがダメだって。うつる病気だから、絶対、お見舞いに行っちゃだめだ…って。」
「そうなんだ……」
腕を組み、口に手を当てるケビン。
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