三章:美しい日々
第8話
「ウチのかぁちゃんは、べっぴんだからな。良かったなぁ、坊主、綺麗なかぁちゃんで嬉しいだろう?」
我が子の頭をくしゃくしゃかき回す野獣男。
「うん♪」
強面だが、目尻が優しく下がった父の顔を嬉しそうに見上げる子供。
「もう、あんたったら、やだよ。2人も子供を産んで、顔だってシミだらけだし。髪だってぼさぼさだし。」
そう言いながら、シルクのような光沢を帯びたブロンズ色の髪を手櫛でなでるジェミー。姿は貧しくとも、その容貌の美しさは際だっている。
大きな草食動物の様な黒目を帯びた瞳。たっぷり生えそろった、ふさふさの長いまつげ。鼻は程良い小ささで形も整っており、クチビルはほんのり綺麗な桜色を帯びている。そんな美しいジェミーの顔を嬉しそうに見上げる野獣。
「いんや、お前は村一番のべっぴんだ。」
「「なー♪」」
父と子が示し合わせたように笑い手を取る。そうして、一緒に家中をステップを踏みながら踊り始める。
「「かぁちゃんは、綺麗♪
かぁちゃんは、べっぴん♪
かぁちゃんは、綺麗♪
かぁちゃんは、べっぴん♪」」
「も~う、やだよ~この子は、あんたまで一緒になって」
そう言いつつ、嬉しそうなジェミーの顔。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます