第2話
部下は泣きそうな顔である。
「子供を…産んだ母親……」
強盗は、猟銃を構えた手をゆるめうつむいた。その動きに手応えを感じた警部が更に繰り返す。
「そうだ、その子達の母親、お前の奥さんだ!!!」
「奥…さん……」
強盗は段々体をわななかせ始めた。
「ジェミィィィィィィィィ!!! うぉぉぉぉぉおおおおぉぉおぉぉおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」
強盗は妻の名を叫ぶと、突然野獣のようにほえ始めた。周囲のガラスというガラスが彼の野獣の様な叫びによって、びりびりと細かく震動する。
警部が両手で耳をふさぎながら部下に聞く。
「おい、一体これはどういう事だ?!」
「だから、警部、さっきから言ってたじゃないですか。あの強盗は奥さんに逃げられたらしいですよ。ちょっと出稼ぎに行ってたスキに男と逃げたらしいです」
「それでか? 暴れてるのは?」
「はい」
思わず我が耳を疑う警部と、渋い顔でうなずく部下。
警部は口をあんぐり開け、思わずつぶやいた。
「何てこった…こりゃ、まいったな」
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